2026年8月18日(火)から23日(日)まで、大丸藤井セントラル7F スカイホールで開催された、JAGDA北海道企画展 POSTER EXHIBITION 2026「果実」。
Gear8からは、渡邉愛梨、大道日菜子、杉山久美子の3名が出展しました。
展示期間中には、社員も業務を少し早めに切り上げ、札幌市立大学からインターンに来ていた学生2名と一緒に会場へ。
完成した作品を見るだけでなく、作者の考えや制作背景を聞きながら、デザインについて話す時間を過ごしました。
Gear8では、日々の仕事だけでなく、展示や個人制作を通したデザイナーの挑戦も大切にしています。
普段の業務とは異なるテーマに向き合うことで、自分の興味や個性をあらためて見つめ直し、新しい表現を試すことができるからです。
今回は、同じ「果実」というテーマを3名がどのように捉え、作品へ展開したのかを聞きました。
作品のコンセプトや制作で大変だったこと、実際にB1サイズで展示された作品を見た感想とともに、制作の裏側をご紹介します。

JAGDA北海道ポスター展2026「果実」とは?
JAGDA北海道が開催するポスター展です。
2026年のテーマは「果実」。
会場には、北海道で活動するデザイナーが制作したB1サイズのポスターが並びました。
一口に「果実」といっても、その捉え方はさまざまです。
果物そのものを描いた作品だけでなく、言葉の意味を掘り下げたもの、社会へのメッセージを込めたもの、果実から自由にイメージを広げたものもありました。
同じテーマから、なぜこれほど異なる作品が生まれるのでしょうか。
Gear8から出展した3名に、それぞれの作品に込めた考えを聞きました。
今回出展した3名のデザイナー
渡邉愛梨

作品名:HAVE A BANANA HAIR DAY!
バナナを髪に見立てた、明るくユーモアのあるビジュアルを制作しました。
大道日菜子

作品名:parfait
「完璧な果実」をテーマに、そもそも完璧とは存在するのかを表現しました。
杉山久美子

作品名:BAD APPLE?
世間から悪いものとされる存在に潜む、常識を変えるエネルギーを腐敗したリンゴで表現しました。
Q1. なぜ、その果実をモチーフに選んだのですか?

渡邉:バナナは、私たちにとってとても身近な存在です。
でも、あらためて考えてみると、意外と知らないことが多い果実でもあります。
バナナは果実なのか、おやつなのか。世界のどこで育ち、場所によってどのような味の違いがあるのか。
普段から目にしているのに、知らないことがたくさんあるという部分に面白さを感じました。
今回はバナナを髪に見立て、難しく考えずに楽しんでもらえるような、明るく印象的なビジュアルを目指しました。

大道:私がテーマにしたのは「私の思う完璧な果実」です。
作品名の「parfait」には、フランス語で「完全な」「完璧な」という意味があります。
そこから、そもそも完璧とは存在するのか?というところまで考え、作品に落とし込みました。
一見するとパフェのように見えますが、よく見ると、実際のパフェに使われるパーツだけでは構成されていません。
近くで見たときに、少し違和感を感じてもらえるような表現にしています。

杉山:私は「Bad Apple」という言葉から発想を広げました。
「Bad Apple」には、周囲へ悪影響を与える存在という意味があります。
でも、世間から「悪影響」や「失敗」と決めつけられるものにこそ、既存の常識を壊し、時代を変えていくエネルギーが潜んでいるのではないかと考えました。
その考えを、既存の型や常識からの解放を象徴する、腐敗したリンゴで表現しています。
かつて大人たちから青少年へ悪影響を与えるとされながらも、時代を変えていったThe Beatlesの存在や、楽曲「Strawberry Fields Forever」の世界観も重ねています。
Q2. アイデアを作品にするまで、どのように考えましたか?
渡邉:ロピアで売られていたバナナがとても大きく、見た瞬間に「頭にすっぽり収まりそう!」と思ったのがきっかけです(笑)。そこから、バナナを髪の毛に見立てたら面白いのではないかと、アイデアを広げていきました。
大道:パフェという分かりやすいモチーフを使いながら、「完璧」という少し抽象的な問いを表現しました。
最初は華やかで完成されたパフェのように見えても、よく見ると違うものが混ざっている。
その違和感を通して、本当に完璧なものは存在するのかを感じてもらえるように構成しています。
杉山:最初に「Bad Apple」という言葉があり、そこから悪影響とされてきた存在について考えました。
周囲から悪いものだと決めつけられた存在が、結果として新しい価値観や文化を生み出すことがあります。
そのエネルギーを、きれいなリンゴではなく、あえて腐敗したリンゴで表現しました。
一見すると不快に感じるものの中にも、既存の常識を変える力があるということを伝えたいと考えました。

Q3. 制作で最も大変だったことは?
渡邉:どこまで具体的に、どこまで抽象的に表現するか、そのバランスに悩みました。
果実は誰でもイメージしやすいモチーフだからこそ、そのまま描くだけではなく、自分ならではの視点を加える必要があります。
見た人に伝わりやすいことと、自分らしい表現を両立させることが難しかったです。
大道:今回は急きょ出展することになったため、制作時間があまりなかったことが大変でした。
短い期間のなかでアイデアをまとめ、B1サイズの作品として完成させなければなりませんでした。
Illustratorで制作したのですが、データがとても重くなり、作業中に何度もアプリケーションが落ちてしまったことも大変でした。
杉山:暑いなか、腐ったリンゴの絵を描き続けたことです。
腐敗したリンゴを観察しながら描いていたので、途中で気分が悪くなってしまうこともありました。視覚的にも強いモチーフなので、作品として成立させるために、最後まで向き合いながら仕上げました。

Q4. JAGDA北海道ポスター展に出展したきっかけは?
渡邉:学生のときにインターンでお世話になっていたAMAYADORIさんから、「ポスター展があるからおいでよ!」と誘ってもらったことがきっかけです。
実際に見に行ってみると、B1サイズのポスターが並ぶ会場の迫力と、毎年設定される独特なテーマがとても面白く、印象に残りました。
そのときに生まれたご縁も感じながら、現在は自分も毎年参加しています。
大道:今回は出展する予定ではありませんでしたが、さまざまな経緯から参加できる機会をいただきました。
急な参加だったので制作は大変でしたが、せっかくの機会なので挑戦してみようと思いました。
杉山:デザイナーになってから初めて参加するデザイン展だったので、新しいことに挑戦してみようと思い、出展を決めました。普段の仕事とは違う、自分自身の考えを起点に作品をつくる機会にしてみたいと思いました。

Q5. 会場で自分の作品を見て、どう感じましたか?
渡邉:Gear8では、B1サイズのような大きな印刷物をつくる機会はあまり多くありません。
そのため、自分の作品が大きく印刷され、実際の会場に展示されている姿を見ることができたのは、とても貴重な経験でした。
ほかの皆さんの作品も、説明を聞くことで制作背景や込められた思いを知り、より深く共感できました。
忙しいなか、会社のみなさんが集まって作品を見てくれたことにも、あらためて感謝を感じました。
大道:実物を見て、RGB印刷にした方がよかったかもしれないと思いました。
画面上で見ていた色と、B1サイズで印刷されたときの見え方の違いを確認できたことは、今後の制作にもつながる気づきでした。
ほかの方のポスターもたくさん見ることができ、とても刺激になりました。
急きょ参加することになりましたが、出展してよかったです。
杉山:トークショーで、出展しているデザイナーの皆さんから、発想のタネや、そのタネをどのように作品へ広げたのかを聞けたことが、とても面白かったです。
完成した作品を見るだけでは分からない、アイデアが生まれたきっかけや制作の過程に触れることができました。
普段の業務でアイデアを広げていくうえでも、とても勉強になりました。また来年も、成長した姿で挑戦したいと思います。


札幌市立大学のインターン生も一緒に展示を鑑賞

今回は、Gear8でインターンに参加していた札幌市立大学の学生2名も一緒に会場を訪れました。ポスターの鑑賞に加えて、作者本人から作品の背景やメッセージを聞けるトークにも参加しました。
「同じ『果実』というテーマでも、一人ひとりの捉え方や表現方法が違っていて、とても勉強になりました。作者から作品の背景を聞くことで、見え方が変わったことも印象的でした」
「近くと遠くで印象が変わる作品など、さまざまな表現があり、ポスターってこんなに自由でいいんだと感動しました。デザイナー自身のワクワクが、見る人のワクワクにつながることを学びました」
作品を鑑賞するだけでなく、制作した本人の言葉を聞くことで、作品の裏側にある人柄や価値観にも触れられたようです。
デザインを学ぶ学生と、実際に仕事をしているデザイナーが一緒に作品を見て、感じたことを話し合う。私たちにとっても、普段とは異なる視点からデザインを見つめ直す時間になりました。
個人の挑戦が、チームの学びにつながる
バナナを髪に見立てた、渡邉の「HAVE A BANANA HAIR DAY!」。
完璧とは何かを問いかけた、大道の「parfait」。
悪いものとされる存在の中にあるエネルギーを描いた、杉山の「BAD APPLE?」。
同じ「果実」というテーマでも、モチーフの選び方や発想の広げ方、伝えたいメッセージは大きく異なりました。一人のデザイナーが作品をつくり、展示に挑戦する。
その作品を会社のメンバーやインターン生が見て、考えを聞き、それぞれの気づきを持ち帰る。
個人の挑戦が、チーム全体の学びや新しい会話につながることも、展示に参加する面白さのひとつです。
Gear8は、異なる考え方や得意分野を持つメンバーが、それぞれの個性を生かしながらものづくりに向き合うチームです。今回のポスター展も、デザインの自由さと、一人ひとりの視点を尊重することの大切さを、あらためて感じる機会になりました。
これからも日々の仕事と社外での活動の両方を通して、メンバー同士で刺激を受けながら、表現と仕事の幅を広げていきます。



開催概要
JAGDA北海道企画展
POSTER EXHIBITION 2026「果実」
会期:2026年8月18日(火)〜23日(日)
会場:大丸藤井セントラル 7F スカイホール








































