こんにちは、塚本です。
2026年5月14日、デザイナーミーティングを行いました。
今回のテーマは「こんなコンセプトを各地で共有したい」。
韓国・タイ・日本のカルチャーや、ブランドリニューアル、ロゴ、広告、アート、UI、アニメーションなど、各メンバーが気になった事例を持ち寄り、それぞれの視点から紹介しました。
デザインの話にとどまらず、「なぜその活動が生まれたのか」「どうして人に受け入れられているのか」「文化や価値観はどのように表現へ落とし込まれるのか」まで考える時間になりました。
朝の時間を楽しむコミュニティ「SMCC」
Carinaさんからは、韓国・ソウル発の「SMCC」について紹介がありました。
SMCCは「Seoul Morning Coffee Club(ソウルモーニングコーヒークラブ)」の略で、朝の時間を楽しむためのコミュニティです。延べ1万人以上が参加しており、毎朝8時前にスタートするそうです。

この活動が生まれた背景には、近年、お酒を中心とした社交のニーズが以前ほど高くなくなってきたことがあるとのこと。コーヒーを片手に、健康的に人とつながる新しい社交の形として広がっていきました。
創設者のパク・ジェヒョンさんは、ニューヨークやイタリアで暮らした後、ソウルに戻った際に「ソウルのカフェは開くのが遅い」と感じたそうです。そこで、朝早くから開いているカフェを訪れ、その様子をInstagramに投稿したところ、「自分も一緒に行きたい」という人が集まるようになりました。
もともとコミュニティを作るつもりはなかったそうですが、気づけば自然と人が集まり、活動が広がっていったそうです。
SMCCの特徴は、名刺交換禁止・仕事の話禁止というルール。
肩書きや仕事から離れ、知らない人と素直に話せる場所であることが大切にされています。
また、朝の時間に参加することで「自分で自分の一日をコントロールしている感覚が得られる」という点も、大きな魅力として紹介されました。
活動内容はコミュニティによってさまざまで、モーニングラン、一緒に本を読む会、お酒なしで踊るイベントなどもあるそうです。いずれも75分以内で終わるという、朝の時間に参加しやすい設計になっています。
台湾には「一日の計は朝にあり」という諺があるとのこと。
自分らしく一日を始めることを大切にしながら、自分らしい朝の文化をつくっていく。そんな考え方が印象的でした。
台湾ではカフェの開店時間は10時ごろが多い一方、タイでは朝7時ごろから開いているお店も多く、コーヒーをテイクアウトして出社する人が多いそうです。タイでもモーニングランが流行っており、その後に喫茶店へ行くような文化もあると聞き、国ごとの朝の過ごし方の違いも興味深く感じました。
タイのコンテンポラリーアートとポップアート
SINEさんからは、タイのデザイントレンドについて紹介がありました。
テーマは、コンテンポラリーアート、ポップアート、そして最近のタイのデザイン傾向についてです。

近年のタイでは、従来のタイ風の応用美術から、よりポップで親しみやすいアートへと表現が広がっているそうです。若い世代や海外の人にも伝わりやすいデザインとして発展しており、伝統をそのまま見せるのではなく、現代的にアレンジして日常へ馴染ませる動きが多く見られるとのことでした。
たとえば、お寺の壁画に現代的な要素を取り入れたり、伝統模様を簡略化したり、鮮やかな色彩で表現したり。形は新しくなっていても、見た瞬間に「タイらしい」と感じられるデザインになっている点が特徴です。
タイ文字の扱いについても、興味深い話がありました。
以前は「英語はかっこいいけれど、タイ語を使うのは少しダサい」という感覚もあったそうです。しかし近年は、古いタイ文字のフォントが再び注目され、独自のアイデンティティを生み出す大切な要素として見直されています。
SINEさんの「フォントはファッションのように繰り返す」という言葉も印象的でした。
一度古く見えたものが、時代を経てまた新鮮に見える。デザインのトレンドは、単に新しいものへ進むだけではなく、過去の文化や記憶を再解釈することで生まれるのだと感じました。
また、バンコクではさまざまなエリアをサポートするショップも生まれているそうです。地域ごとの質の良いものを集めたり、タイ文化の要素をファッションに取り入れたりする動きも増えているとのこと。
日本の事例としては、愛知県名古屋市のタイカレー屋さんが、店舗デザインや洋服にタイ文字やタイらしいデザインを取り入れている話も紹介されました。
音楽では、演歌と最近の曲を組み合わせるようなコラボレーションもあるそうです。
さらに、本来はお供えに使われるハスの花が、おしゃれな撮影アイテムとして流行しているという話もありました。
伝統的なものを守るだけでなく、今の暮らしや若い世代の感覚に合わせて再編集する。タイのデザインからは、文化を楽しみながら伝えていく姿勢を感じました。
Peachのブランドサイトリニューアルから見えたこと
私からは、Peachのブランドサイトリニューアルについて紹介しました。
今回は、サイトをただ眺めるのではなく、「なぜこの表現にしているのか」「どうしてこの見せ方なのか」と考えながら見てみました。
すると、普段なら見過ごしてしまいそうな細かな工夫にも気づくことができました。
チェックインのグラフィックが複数用意されている点や、空港のビジュアルの作り方、ノベルティの写真の見せ方など、ひとつひとつに意図があるように感じました。
写真自体は比較的静かな印象でも、背景に動きをつけることで全体が硬くなりすぎないようにしているのではないか、など、見ながら考えることで学びが増えた事例でした。
「分からないけれど、なぜだろう」と考えながら見ることは、デザインの勉強になると改めて感じました。
新宿らしさを表現したNIKEの広告
くみこさんからは、新宿駅に掲示されたNIKEのNew Open広告について紹介がありました。

この広告は、ガムテープで作られていることが特徴です。さらに、その文字を制作したのは警備員の佐藤修悦さん。新宿駅などの案内表示で知られる「修悦体」を生み出した方です。
佐藤さんがガムテープで案内表示を作り始めたきっかけは、声だけで案内することに限界を感じたことだったそうです。駅を利用する人に分かりやすく伝えるために、ガムテープを使って案内を作ったことから始まりました。
NIKEの広告では、「スポーツブランドのNIKEらしさ」と「新宿らしさ」を表現することが求められていたそうです。新宿駅を利用する人にとって馴染み深い修悦体を用いることで、場所の記憶とブランドのメッセージがつながっていました。
作り方も独特で、まず格子状にガムテープを貼り、そこから文字の形にカッターで切っていくそうです。幅や形は佐藤さんの感覚によるもので、だからこそ機械的ではなく、温かみのある文字になっています。
最大の特徴は、角の丸み。
駅でイライラしている人をよく見かけた佐藤さんは、角を丸くすることで、少しでも気持ちをやわらげたいと考えたそうです。
「デザインはクライアントのためのもの」であると同時に、「誰かの役に立ちたい」という思いから生まれるものでもある。そんなことを感じる事例でした。
この広告についてはタイにも情報が届いていたそうで、SINEさんも記事を読んでいたとのこと。日本の駅から生まれたデザインが、海外のデザイナーにも届いていることも印象的でした。
ロゴ、UI、キャラクター、ゴミ袋、アニメーション
ひなこさんからは、さまざまなデザイン事例の紹介がありました。
まずは、ロゴトレンドをまとめたサイト「LogoLounge」について。
2020年は角や4方向、4つのオブジェクトを使ったロゴが目立ち、2021年は黒く太い線で何かを表すような、ドラマチックで文字の少ないロゴが多かったそうです。2022年には前年より曲線的な表現が増え、2025年は青紫のようなトレンド感のある色味や、曲線的なフォントが印象的だったとのことでした。

次に紹介されたのは「THIS IS TEARABLE UI」。
特に意味のあるサイトというよりは、体験そのものが面白いサイトで、布のように破れるようなインタラクションが印象的だったそうです。Webサイトは情報を伝えるだけでなく、「触ってみたい」と思わせる体験そのものが価値になることを感じました。
また、「Desktop Mate」というWindows向けの有料アプリも紹介されました。
サンリオのキャラクターがデスクトップ上に現れ、作業中のウィンドウに乗ってきたり、おやつを催促してきたりするそうです。便利さとは別の軸で、日常の作業環境に楽しさを加えるデザインとして面白い事例でした。
GOOD DESIGN AWARD 2025の受賞ギャラリーからは、ゴミ袋のデザインが紹介されました。
ゴミ袋は真っ黄色など目立つ色のものも多く、捨てる行為そのものに煩わしさや強制される印象がつきまといます。そのネガティブな側面を、やさしく促すようなイラストやキャラクターによって、少しポジティブな印象に変えている点が魅力的でした。
最後に、新千歳空港国際アニメーション映画祭で紹介された、水尻自子監督の「普通の生活」についても話がありました。
YouTubeでは予告編のみ公開されている作品ですが、感触を表現するのがとても上手で、一見普通に見える生活も、一瞬一瞬の変化の繰り返しでできているのだと感じられる作品だったそうです。
日常的な行動や感覚を、アニメーションとしてどう表現するか。
視覚だけでなく、触覚や空気感まで伝える表現について考えるきっかけになりました。
コクヨのブランドリニューアルとCIの考え方
あいりさんからは、コクヨのブランドリニューアルについて紹介がありました。

コクヨといえば、キャンパスノートやカドケシなどの文具で知られていますが、家具なども手がける企業です。台湾でも認知があり、タイオフィスではコクヨの椅子を使用しているとのことでした。
コクヨは120周年を迎えたタイミングで、ブランドロゴをリニューアルしました。
「国誉」から「コクヨ」へ、そして現在のロゴへと、時代に合わせて少しずつ姿を変えてきたブランドです。
リニューアルの背景には、文具や家具など多様なものを作っているコクヨが、自分たちはどういう会社なのか、社会の中でどのような立場にあるのかを改めて考え直す必要があったそうです。
外部デザイナーに相談する場面もありつつ、基本的には社内で内省しながら作り上げたとのこと。CIを単なる納品物としてではなく、会社の中で使われ続ける「生きた資産」として捉えている点が印象的でした。
新しいロゴでは、K・K・Yの斜線が等間隔のグリッドに沿って揃っています。
この斜めのラインが無限に広がっていくことで、コクヨの多面性を表現しているそうです。さらに、斜めラインの角度は「594°(コクヨ)」になっているとのこと。
ロゴは名刺や封筒、ノベルティなどにも展開されていますが、使い方を厳しく縛るのではなく、広がりを持って展開できる設計になっている点も特徴です。新しいWebサイトにも、594°の斜めのあしらいが使用されています。
また、ブランドを社内にどう浸透させるかという視点も大切にされていました。
社内で作ることによって、自分たちで考え、自分たちのものとして実感する。そうしたプロセスが、ブランドを「自分ごと」にしていくことにつながっているのだと感じました。
今回の事例からは、ロゴは見た目を刷新するだけのものではなく、会社の方向性や価値観を再定義するきっかけにもなることを学びました。
また、社内のモチベーションにつながること、使い方や広がりまで設計する必要があること、CIは運用され続ける資産であることも印象に残りました。
まとめ
今回のデザイナーミーティングでは、朝のコミュニティ、タイのアートやデザイントレンド、日本の広告、ブランドサイト、ロゴ、UI、キャラクター、ゴミ袋、アニメーション、CIなど、幅広いテーマが紹介されました。
それぞれの話を聞いていて共通していたのは、デザインが単に見た目を整えるものではないということです。
朝の時間をどう過ごすか。
文化をどう現代的に伝えるか。
場所の記憶をどう広告に取り入れるか。
日常の行動をどう前向きに変えるか。
会社の価値観をどう形にして、社内外へ広げていくか。
どの事例にも、その背景にある考え方や、人の行動・気持ちへのまなざしがありました。
今回紹介してもらったデザインについてだけでなく、早起きしてみたり、もっとトレンドを追ってみたり、海外のデザインを見てみたりと、さまざまなことに挑戦してみたくなるミーティングでした。
次回もお楽しみに。





































