出発は、いきなりの「欠航」から
Gear8の梅木です。息子が2025年の7月で10歳になりました。子どもが生まれてから10歳を節目に何か特別なことをやりたいなと思っていました。選んだのが、ふたりきりのバックパッカー旅でした。会社のサバティカル休暇と息子の夏休みを重ねて、8月3日から20日までの約2週間半。
フィリピン🇵🇭 → シンガポール🇸🇬 → マレーシア🇲🇾 → タイ🇹🇭 と、東南アジアを陸路も交えて縦断をしてみることにしました。
息子にとっては、タイから日本に帰国して以来、コロナ後はじめての海外。荷物はバックパックひとつ、宿はその都度おさえて、移動もなるべく自分たちの足ですることにしました。
旅は出発前からつまずきます。
搭乗口で待つこと約4時間。さんざん待たされたあげく、まさかの欠航。その日はそのまま自宅に引き返すことになりました。楽しみにしていた出発が、飛行機に乗ることすらできずに初日は終わってしまいました。

でも、これはこれで悪くない出だしだったと思っています。「物事は自分の予定どおりには進まない」。旅がはじまる前に、そのいちばん大事な教えを、出発前から教えてくれました。欠航が決まった瞬間、息子は少し残念そうな顔をしていました。
翌日、気を取り直して別便を予約し直し、台湾経由でフィリピンへリベンジ。前日出発できなかったことこもあり、「今度こそ飛び立つまで気を抜けない」という、少し引き締まった表情になっていたのが印象的でした。こうして、ようやく僕らの旅が動き出しました。
🇵🇭 フィリピン・マニラ 、「はじめての国」に飛び込む
最初の国はフィリピン。降り立ったマニラで、まず息子と向かったのは、フィリピンで絶大な人気を誇るファストフード「Jollibee(ジョリビー)」。現地の人たちに混じって食べるランチは、それだけで「知らない国に来た」という実感が湧いてきました。

マニラオーシャンパークでは、エイに直接触れる体験に息子は大興奮。サンチャゴ要塞やマニラ大聖堂では、スペイン統治の歴史が刻まれた街並みを歩きました。大聖堂の前では、日本語を話せるトゥクトゥクのドライバーに陽気に絡まれるという、旅ならではの一幕も。こういう予測できない出会いも、旅の醍醐味ですよね。

夜は、スペイン料理店「Casa Armas」へ。マニラにこんな本格的なスペイン料理があるのかと驚くほど、どの皿も本当に美味しかったです。店内ではスペイン語の弾き語りも流れていて、はじめての国の夜を忘れられないものにしてくれました。息子と2人でレストランに行くという経験も、日本ではほとんどないのでそれもまた新鮮でした。

歴史あり、食あり、思わぬ出会いあり。初日から、「知らない場所に飛び込むこと」の面白さを体験できたと思います。
🇸🇬 シンガポール 、「きれいな街」と、バックパッカーの現実
続いては、洗練された都市国家シンガポール。到着したチャンギ空港は、「やっぱりすごい」の一言。空港そのものが観光地のようで、街もどこまでも清潔でした。

一方で、洗礼もありました。空港で売られている水が1本360円、思わずひるむ物価。宿泊費も高く、僕らはアプリを駆使して格安ホテルをおさえたのですが、部屋はとても狭く、シャワーを浴びるとトイレまでびしょ濡れになる作り。でも、これぞバックパッカーの旅だと息子と自分を納得させました(笑)快適なだけが旅じゃない。狭い宿も、高い水も、ぜんぶひっくるめて「体験」ですよね。

食では、シンガポールのベスト・チキンライスに選ばれたという名店「天天海南鶏飯(ティエンティエン)」へ。僕らが慣れ親しんだタイのカオマンガイとも違う、新しい美味しさでした。同じ「鶏のごはん」でも、国が変われば味が変わる、舌でその違いを知るのも、学びのひとつです。


マーライオン、マリーナベイサンズの前で記念撮影をして、シンガポール・サイエンスセンターでたっぷり遊びました。ピカピカの街と、狭い宿。そのギャップごと味わうのが、この国でのふたりの過ごし方でした。
🇲🇾 マレーシア 、バスで国境を越えて
シンガポールからは、いよいよ陸路での移動。バスで国境を越えて、マレーシアのジョホールバルへ入りました。日本に住んでいると、陸路で国境を越える体験はできないこともあり、新しい体験になったのではないかと思います。

ジョホールバルからは、さらにバスを乗り継いでクアラルンプールへ。バスの予約は「busonlineticket.com」というサイトが便利で、しかも安かったです。こういう移動の段取りも、旅を重ねるごとに息子と一緒に慣れていきました。

クアラルンプールでは、ペトロナスツインタワーの前で記念撮影。ナシゴレンとサテをとりあえず頬張って、夜はアロー通りで食べ歩き。マレーシア国立博物館では、多民族国家マレーシアの歴史をふたりで学びました。宿は相変わらず格安ホテルを泊まり歩きましたが、それも含めて身軽で自由な旅でした。
🇹🇭 タイ 、旅の終着地は、「帰る場所」だった
そして最後の国、タイ。ここは僕らにとって、ただの旅行先ではなく、以前は幼稚園に通い暮らしていた、もうひとつの故郷です。旅の締めくくりが「帰郷」になる、この旅がいちばん特別だったのは、このタイの時間だったかもしれません。
バンコクでは、まず食から。ソムタムの名店「ソムタムダー」へ。ムーピンが好きだったのでここでも頼んでみたのですが、正直、おしゃれすぎて彼にとっては屋台の安いムーピンのほうが好みだったようです。

観光も盛りだくさんでした。オープンしたばかりの「ジュラシック・ワールド・ザ・エクスペリエンス」、これまで行ったことのなかったサファリワールド。バスでパタヤへ移動して、船でラン島へ渡ってバイクを借り、半日かけて島をドライブしました(船では、2階から船酔いの汚物が降ってくるという、なかなかのハプニングもありましたが……これもまた旅の記憶です)。
GEAR8 THAILANDのオフィスにも、職場訪問をしました。タイで働く場所を、息子が自分の目で見る。ふだんはあまり伝えられない仕事を、旅の途中で共有することができました。
途中、南部・カオラックへも足を延ばしました。バンブーフローティングに挑戦して、タクアパのマーケットを散策して、都会のバンコクとはまた違う、自然のなかのタイを味わえた時間でした。

最終日は以前住んでいたコンドミニアムの守衛さんと、トゥクトゥクの運転手さんに会いに行きました。みんな覚えていてくれて、息子も嬉しそうでした。次男が生まれた病院を見に行き、息子がかつて通っていた幼稚園にも足を運びました。幼稚園はすでに別の場所へ移転していて、跡地は更地になっていました。少し寂しさを感じながら過ぎた時間の長さを、感じた瞬間でした。こうして僕らの旅は幕を閉じました。
旅を終えて 、息子の背中に見た「成長」
8月20日、日本へ帰国。約2週間半、4ヶ国。振り返れば、一度も体調を崩すことなく、ほぼ予定どおりに旅を終えられました。(唯一の心残りは、鉄道。人気を知らずに予約が取れず、今回は乗れませんでした。2週間ほど前からネットでおさえておくべきだったと、これは完全にリサーチ不足。次回の宿題です。)
いつかやってみたかった旅が、こうして実現できて本当に良かったです。
でも、いちばんの収穫は、行った場所でも食べたものでもなく息子の成長を感じられたことでした。7kg以上あるバックパックを背負って、一度も弱音を吐かず、自分のことは自分でやりきる。その姿に、10歳という節目の確かな成長を見ることができました。
思えば旅は、出発前の欠航から「予定どおりにはいかない」を教えてくれました。狭い宿も、高い水も、乗れなかった鉄道も、船の上のハプニングも、ぜんぶが息子にとっての「学び」になったはずです。予定どおりにいかないことを楽しめる、それはきっと、これから先の人生でいちばん役に立つ力だと思います。
10歳の夏。バックパックひとつで駆け抜けた4ヶ国。この旅の記憶は、きっと息子の中でずっと生き続けてくれると思います。そして僕にとっても、かけがえのない時間になりました。



















