制作実績

創業49年目の「はじめまして」。函館のまちを支える会社の全体像を、初めてウェブに描くまで

名美興業株式会社様

  • くらし・住まい・不動産
  • 建築・設計・土木・工事
  • 旅行・観光・宿泊・交通・貿易
https://meibi.co.jp/

名美興業 コーポレートサイトリニューアル

函館でビルメンテナンス事業を展開する名美興業株式会社様のコーポレートサイトを、設立50周年に向けたブランド再構築・採用力強化を目的に全面リニューアルしました。

サイト構造は「法人向け」「求職者向け」の二軸で再定義。法人向けにはビルメンテナンスや建築サポートなどのサービスを分かりやすく分類し、信頼感と利便性を向上させました。

求職者向けコンテンツでは、作業内容の列挙ではなく「仕事の本質的な価値」を言語化することに注力。客室清掃は「心地よい滞在を作る仕事」、定期・特別清掃は「美観を蘇らせる仕事」、警備は「人と街の安全を守る仕事」とし、現場スタッフの写真とともにやりがいを伝えています。また「健康維持につながる」「達成感を得られる」など、現場のリアルな実感に基づく表現で等身大の魅力を発信しています。

さらに、自社で更新可能なCMSを導入し、単なる会社紹介サイトではなく「お知らせ」機能などを通じて会社の想いや働く人の熱量を継続的に発信できるプラットフォームとして構築しました。

新しいサイトのお知らせ第一号には、こんなタイトルの記事が投稿されました。

「はじめまして、名美興業です。」

1977年の創業から約半世紀。函館を拠点に清掃、建築美掃、設備管理、警備、施設運営、マンション管理と、まちの暮らしを支え続けてきた名美興業株式会社様には、これまで会社公式ウェブサイトがありませんでした。パート・アルバイトを含め約1,000名のスタッフが毎日どこかの現場で働いているのに、その全体像を伝える場所がない。今回のプロジェクトは、半世紀分の「はじめまして」をゼロから形にする仕事でした。

「お掃除の会社」に見えてしまうジレンマ

最初のディスカッションで見えてきたのは、事業の幅広さゆえの課題でした。

売上の約6割は、日常清掃や設備管理を担うビル管理部。日常清掃を依頼しているお客様からの認知は「お掃除の会社」です。けれど実際には、警備も、文化施設の指定管理も、フェリーターミナル内の業務も手がけ、ベトナムには海外拠点まで持っています。

社内の部署名である「ビル管理部」「美掃部」のまま発信しても、外部には届きません。とりわけ、人手不足の中で最重要ミッションだった採用において、求職者に仕事の中身が伝わらないことは大きな機会損失でした。

「カタログのようなホームページではなく、名美興業の”今”の姿勢や価値観を貯めておける場所にしたい」

このひと言が、プロジェクトの軸になりました。

デザインの前に、「選ばれている理由」を探す

私たちは、すぐにサイトの構成やデザインの話を始めませんでした。まず取り組んだのは、「お客様はなぜ、他社ではなく名美興業に頼み続けているのか」を一緒に言葉にする作業です。

対話を重ねると、答えの輪郭が見えてきました。同社の仕事は、頼まれた清掃をこなすだけではありません。現場をよく知るからこそできる、建物の寿命を延ばすための予防的なメンテナンス提案までが含まれている。長年の取引が続いている理由は、この「信用と納得感」にありました。

ならば、それを一番よく知っているのは現場です。私たちは函館と札幌の現場へ、直接足を運ぶことにしました。

 

現場で見つけた、「あたりまえ」という価値

ホテルの客室清掃、病院、商業施設、役所の美掃現場、そして港町・函館らしいフェリーターミナル。各地の現場を回り、働く方々に直接話を聞き、カメラマンとともに撮影を重ねました。

昭和の時代から前線を走り続けてきたベテランたちは、自分たちの仕事を特別なものとして語りません。けれど、聞けば聞くほど、その仕事の中身は緻密でした。

「清掃って、ただ磨いて終わりというイメージを持たれがちですけど、実際は床の材質によってやり方も全部違います。長いスパンでその場所をどう綺麗に維持していくか、そこまで考えて手を動かしているんです」

取材の中では、こんな話も聞きました。

「私たちが目指しているのは、利用する方が『快適なのがあたりまえ』と感じられる空間です。その『あたりまえ』を狂わせないために、見えない段取りや日常の業務には、全員がプロとしてのこだわりを持っています」

いつも通りの快適を、いつも通りに積み重ねる。本人たちが「あたりまえ」と呼ぶこの誠実さこそ、名美興業様の最大のブランド価値だと確信しました。サイトで伝えるべきものは、ここで決まりました。

業界用語を、届く言葉に組みほぐす

制作段階で最も時間をかけたのが、言葉の変換です。パート・アルバイトには未経験の方も多く、業界用語のままでは求職者に届きません。

  • 客室清掃 →「心地よい滞在を作る仕事」
  • 定期・特別清掃 →「美観を蘇らせる仕事」
  • 建築美掃 →「現場を整えて美しく仕上げる仕事」

仕事の中身の説明より先に、その仕事が生んでいる価値が伝わる言葉を選びました。事業紹介は「名美興業の仕事」、採用ページは「名美で働く」。「お客様から直接『いつも綺麗にしてくれてありがとう』と言われる瞬間があるから、細かい作業も妥協せず続けられる」——そんな現場の声をそのまま載せた「この仕事の楽しみ・喜びを聞きました」というコンテンツも設けています。

デザインはネイビーとベージュを基調に、信頼感と親しみやすさを両立。空欄になりがちな社長挨拶と沿革も妥協しませんでした。過去の記念イベント冊子をお預かりし、沿革を一から紐解いて書き起こし。半世紀の歩みを、読み物として伝わるページに仕上げています。

告知ゼロ、公開1ヶ月で得たアクセス数

公開の時点では、名刺へのURL掲載も求人広告との連動も、まだ行っていません。実質的な告知ゼロの状態です。

それでも、最初の1ヶ月で数百件のアクセスを計測。半数以上が「名美興業 函館」などの検索からの流入でした。「まだ何も動いていないのに、結構見てくれているんだな」——社内に驚きが広がり、「自分たちのカラーがやっと外に発信できるようになった」という声もいただきました。

サイト完成は、自走へのスタートライン

このプロジェクトのゴールは、サイトをローンチさせることではありません。

新しいサイトには、名美興業様ご自身で更新できるCMSを導入しています。「はじめまして、名美興業です。」に続くお知らせも、現場の取り組みも、これからは社内の手で発信を積み重ねていける仕組みです。GEAR8はサイトの保守とセキュリティ監視を担い、この発信基盤を裏側から支えていきます。

「あたりまえ」を支える現場の熱量が、ウェブサイトを通じて函館のまちへ、未来の仲間へ届き続けるように。GEAR8はこれからも、名美興業様の変化と挑戦を支えるパートナーであり続けます。

Client

名美興業株式会社様

くらし・住まい・不動産

建築・設計・土木・工事

旅行・観光・宿泊・交通・貿易

https://meibi.co.jp/

函館を中心に、清掃・設備管理・警備など多岐にわたるビルメンテナンス事業を展開

Credit

企画・設計 / ディレクション / デザイン / マークアップ / CMS / 取材 / コピー・ライティング / 撮影

Director:待島亘
Designer:川島健吾
Engineer:小松田健太
Photographer:GAZE fotographica 古瀬桂